屋根融雪装置は比較的新しい装置技術でありながら、ここ数年で急速に進歩しました。 近年では少子高

 齢化を背景に融雪関連装置の需要、社会的重要性が高まってきており、雪国における高齢者の生活には

 今や欠かすことのできない住宅設備の一部となってきています。

 しかし、現状の屋根融雪システムにおけるランニングコストは未だ割高感の否めない金額であり、利用者

 の大きな負担となっています。また、これに加えて従来の屋根融雪装置には『泣き所』と称される障害、

 技術課題が数多く存在しています。



 1989年、パテジソンはこれらの従来方式における技術課題、リスクの『克服』を念頭に置き、全く

 新しい屋根融雪システムの開発に着手しました。その開発指針となるコンセプトが屋根の完全消雪/省

 運転経費/シンプルな構造/安易な保守管理/短期間償却の条件を満たすシステムの具現化です。

 それは時代が求める屋根融雪システムの理想形を明確に示唆するものでした。




  (▲写真上)雪庇によって軒樋が完全に脱落しています。

  (▼写真下)雪庇の重みで鼻隠板が縦割れを起こし、軒樋が支持金具ごと脱落しています。


        ● 屋根雪をすべて融かす必要はなく、むしろ少し残す位の方が融雪効率が上がる

        ● 屋根雪を適度に残して放熱ロスを抑える

        ● 雪下ろしをしなくてよい程度まで融雪したら運転を止め、燃費を節約する


 システムの運転方法において屋根雪を残す事を奨励するメーカーもあるようです。しかし、そのメリッ

 トの一方では雪庇や氷柱の発生を助長し、大雪時には軒樋脱落事故へ発展してしまうケースが起きてい

 ます。



 屋根雪の底層に空洞(トンネル)が発生するとシステムの熱交換効率は著しく低下します。写真の屋

 根は、屋根雪の底層に空洞が発生した状態で大雪に見舞われ、大量積雪に発展してしまった事例です。




 軒樋破損を見越して、あえて軒樋を設置していないシステムの事例です。こうする事で軒樋破損は避け

 られますが、その一方では大量の氷柱が発生しており、問題の根本的な解決策になっていません。